日時:
2023年12月20日 14:00 ~ 17:10
場所:
会議室聴講とWeb配信
概要:
新化学技術推進協会 先端化学・材料技術部会 高選択性反応分科会 講演会
「N2O処理技術」
プログラム(講演時間は質疑応答を含みます)
14:00~15:30 南澤 究 様 ご講演
15:40~17:10 日隈 聡士 様 ご講演
〔連絡事項〕
・講演会開場時間は下記となります。
JACI会議室聴講:講演開始15分前
オンライン聴講:講演開始10分前
・講演会申込みにはユーザー登録が必要です。
ユーザー登録はイベント開催8営業日前までに済ませてください。
ユーザー登録後、事務局での確認後に講演会の申込みが可能となります。
・参加費支払いはクレジットカード払いのみとなります。
有料の申込者はイベント開催4営業日前までに会費をお振込みください。
確認できない場合、キャンセル扱いとさせていただきます。
・JACI会議室の定員は12名です。
・感冒症状がある方、発熱されている方は会議室への参加をご遠慮ください。
・やむを得ず個別イベントの開催を中止あるいは変更する場合は、
お申し込み者に別途個別にご連絡いたします。
- 講師:南澤 究(東北大学大学院生命科学研究科 特任教授(リサーチプロフェッサー))
- 演題:自然界の窒素循環と微生物によるN2O排出抑制
- 時間:14:00 ~ 15:30
- 要旨:1 地球レベルの窒素循環:カナダのスミルは、「20 世紀最大の発明はHarbor-Bosh 法によるアンモニア合成の工業化である」と述べている。もし工業的なアンモニア合成法が利用されていなければ、世界人口は現在の約半分の30 億人以下であると推定されている。化学窒素肥料の生産と利用の結果としての窒素循環の大幅な加速は、人類の食糧生産を大幅に増加させたが、陸域や水系に多くの環境問題を引き起こしてきた。さらに、人為起源の窒素の大部分は、土壌を経由して大気放出と土壌への窒素溶脱により環境中へ拡散し、環境中への窒素負荷となっていく。このような人為起源の大量の反応性窒素は、人間の健康、生態系、気候変動に深刻な影響を及ぼしている。特に、特に、農業から排出される温室効果ガス(GHG)N2O の割合は人為的なN2O排出全体の約6 割に達している。
2 微生物による窒素循環:自然界の窒素循環は、 アンモニアを起点とすると(NH4+→NH2OH(N2O)→NO2-→NO3-→NO2-→NO→N2O→N2→NH4+)のように循環しており、前者の硝化過程でも、後者の脱窒過程でもGHGであるN2Oが発生している。一方、N2O消去は後者の脱窒過程で、N2O還元酵素を持っている細菌に限定されている。培養可能な土壌微生物は1%程度であり、99%は土壌微生物の機能は現在でも不明である。しかし、新規の窒素循環微生物も近年見出されており、上記の教科書的な記述は変わりつつある。
3 根粒菌による農地からのN2O排出削減:これまで植物共生微生物と微生物叢のゲノム解析を軸に、食料生産に関わる微生物の生命活動と物質循環システムの研究を行ってきた。ダイズ根圏ではダイナミックな窒素の形態変化が起こり、その過程でN2Oが発生した。一方、N2O 還元酵素遺伝子を保有する根粒菌はN2O 発生を低減させた。N2O 還元酵素活性の高い根粒菌変異体や新規N2O除去型根粒菌を取得し接種したところ、圃場レベルでダイズ根圏からのN2O 排出削減に成功した。
4:N2O削減微生物の探索とN2O排出削減:市民科学研究によりN2O除去微生物の探索を行い、成果が出始めている。肥料由来N2O排出削減のためには、N2O除去微生物の土壌中の住処とN2O還元能を最大化する必要がある。そのため、土壌の天然団粒の研究成果に基づき、現在行なっているN2O除去型の人工団粒による肥料由来N2O排出削減の研究を紹介したい。また、微生物コミュニティを用いたN2O除去の工学的アプローチについても研究を開始しており、可能であればその初歩的成果も紹介したい。
<一般的な最近の参考書籍>
1) 南澤究、妹尾啓史(編)エッセンシャル土壌微生物学、講談社、2021年
2) 林健太郎、柴田英昭、梅澤有(編)窒素と環境の科学、朝倉書店、2022年
- 講師:日隈 聡士(国立研究開発法人産業技術総合研究所 材料・化学領域 触媒化学融合研究センター 固体触媒チーム 主任研究員)
- 演題:低温からN2Oを分解する固体触媒の研究開発
- 時間:15:40 ~ 17:10
- 要旨:N2Oはオゾン層を破壊する温室効果ガスであり、約114年の長い寿命を示す。特に、その地球温暖化係数はCO2の約300倍である。世界中の国や国際機関が適切な緩和方法を導入しない場合、N2O排出量は2050年までに約2倍になると推定されている。N2Oの排出起源は主にエネルギー産業(燃焼プラントや化学プラント)・農用地・自然界であり、エネルギー産業の燃焼炉からの排出は局所的で高濃度である。これを防ぐためN2OをN2とO2に触媒分解することは、排出量を削減するための有望で経済的な技術のひとつである。固体触媒の場合、N2O分解活性はRu、Rh、Ir > Pd > Cu > Fe > Pt > Ni > Mnの順であることが報告されており、低温からN2Oを分解する固体触媒の研究開発について紹介する。
参加費:
〔参加費〕(税込額)
・JACI会議室聴講
JACI会員:無料
非会員:11,000円
・Web聴講
主催部会・分科会メンバー:無料
関連部会・分科会メンバー:無料
サテライト配信契約企業:無料(契約人数まで)
上記以外の会員:2,000円
非会員:11,000円
募集人数:
・JACI会議室聴講:12名 ・Web聴講:~300名